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1990-08-15 南紀林道巡り篇[4]
_ 06:00
テントの目の前がダムだったりして。ビルの谷間でキャンプしてる気分だな、こりゃ。ダムのおかげで風も通らないし。でも、昨日はシャワーも浴びたし、元気いっぱい。しかし、実は2日目あたりからCubのタペット音が気になりだしている。大丈夫かいな……?
R425へ。山肌を朝日が照らす中を、朝もやが流れていく。うーん、まさに桃源郷。寒い、寒いと思ったら、すでに標高は1000mを越えている。朝早いので、対向車はナシ。
_ 08:00
十津川沿いのサ店で朝食。峠越えのあとのR425は超退屈で困った。でも、あと20kmも走ると、林道だ。今日はメいっぱい走るぞ〜。
_ 09:00
奥千丈林道。セローとSX125の2人組と、抜きつ抜かれつしながらグイグイと登っていく(別にCubが速いわけではない。単に休まないだけ)。山肌を縫うようにして、どんどん標高があがってゆく。豪快な風景が続く。たまんねーっ。前半は道が悪い上に勾配がきつくてまいったけど(1速ばっかし)、後半はフラットで固くしまったよい路面。ををー。50km/hも出てるぞ!
高野龍神スカイラインに出て、護摩壇山のピット……じゃねーや、ドライブインへ。先の2人組は地元の人間だったので、このあたりの面白いルートを聞く(詳しく聞かなかったことを、あとで後悔することになるんだな、これが)。
_ 11:00
スカイライン出口で給油。ちなみにスカイラインの料金は\100。自動2輪だと\620になっちゃうんだな。90ccが原付かどうかは知らないけど(原付料金を請求されるんだから、いいんだよな、たぶん)、なんにせよ、この差はでかい。ケケッ。
小森林道から西ノ河林道へ。なかなかハードな道。ゆっくりと登る。だんだん林道の面白みがわかってきたかな?と思う。とにかく、もっと面白いことがしたくてたまらない。……で、途中の「初湯川←→南谷城ヶ森林道」の分岐で、「初湯川から北又林道にまわった方が距離がある。距離があればもっと面白いかも知れない。うん、どうせ走るなら長い距離の方がいいよな」(これが失敗のモト)。初湯川の下りはちとハードだったけど、だいぶ慣れてきたので、たいした緊張もせずにゆっくり降りる。
_ 12:00
初湯川沿いから北又林道の入口は、看板も案内もない。ただ、誰が書いたのか、橋の欄干に「↑北又谷」と白いペンキで殴り書き。これだけ。「あ、これか」と気安く入ってしまう(少しは不安になれよ >をれ)。
入ったとたんに、河原と急斜面が合体したようなものすごい荒れた道。ゲゲー、と思いながらも、1速で無理やり登る。ひーひー。そして……
そして、道はぷっつりと切れた。目の前にはかなり幅のある枯れた川。Cubを置いて道の続きを探す(あきらめて帰れよ……)。川の向こう岸に、急な斜面があるにはある。これかな? まるで登山道じゃねーか。少なくとも、廃道であるのは間違いなさそう。ま、いいか(ぜんぜんいくない)。
前にも増して石が多く、でかくなる。斜面もどんどん急に。1速でもまだ登らず、2輪2足でふんばる。「でーいっ。2輪2足はセローだけの専売特許じゃねーぞ! がんばれCub!!」。奮闘むなしく登らなくなると、降りて押し上げる。空転する後輪、あばれまくるフロントタイヤ。もー、トレール通り越して、トライアル・マシンが欲しいよ!
途中の平らな場所(非常に珍しい)で、なんとか休憩。水をガブ呑み。ばったり倒れる。空気は冷たいのに、汗がダクダク、息はゼーゼー。とにかく、これを下るなんてことできないから、登れるかぎりは登らねば。もしこれが北又林道じゃなくて、道が途中で途絶えたりしたら、そこでチョン。明日の朝刊見だしは「2×歳、無謀な林道ツーリング」これで決まり。でも、誰も通らないから発見遅れるな、きっと。
どうにかこうにか、尾根に近付いたらしく、(わずかながら)楽になる。でも、苦しいことに変わりはない。だいたい、これが北又林道だという保証がどこにもないのだ。すると、なんと! 向こうからエンジン音が! ををー、神様ありがとう(うるうる)。
驚いたことに、宮川ダムで一緒だったセロー2人組だった。向こうもこっちを認めて驚きの声をあげる。こんな心細いところに、道が合っているという保証がもらえたばかりか、知り合いに会えるなんて。涙が出るほど嬉しいぜ。あとちょっとでこの道も終りとのこと。記念に写真まで撮ってもらっちゃって、もー、元気いっぱい(けっこう簡単に復活するやっちゃね)。やったるぞー。
_ 14:00
南谷城ヶ森林道はもう、天国であった。北又林道を通ったあとは、どんな道だって極楽だけど、実際ここはよく整備された高速林道。北又林道の汗が、さーっと引いていく。気持ちいい〜。オマケに、林道の出口ではBiker's NETの-Mar-さん夫妻に会う。こっちの方で走ってると聞いていたので、どっかで会うかもしれないとは思っていたが(今の今まで忘れてたくせに……)。セローに乗った(かわゆい)奥さんが、Cubのサイドカバーに貼ったアップルのステッカーを見て笑った(ちなみに反対側にはNeXTのステッカーがあったんですよ >(かわゆい)奥さん)。このあたりを走っている連中は、みんなガルルのマップを持っている。どうも特集があったらしい。やっぱ、Ooff Road雑誌もチェックしないといかんね。で、-Mar-さんに「北又というすげー林道が……」という話をしようと思ったら、ガルルにも載ってない。おかしいなぁ。
同じ場所でXR250に乗った人とも話す。こっちがCubということで、見知らぬ人が向こうから話しかけてきてくれる(楽でいいなぁ)。「XRは速いでしょうねぇ」と聞くと、「そのかわり、ゆっくり走れない」とのこと。速いマシンにも、それなりに苦労があるのだ。そして、CubにはCubでしか楽しめない部分が、かならずある。
_ 14:15
ふたたび護摩壇山へ。ここのスカイライン、気持ちのいいコーナーが続いて、On Road派にもおすすめ(料金高いけど。Off派は林道から入ってくるので、たいていタダ。ずるいね:-)。こういう道はハングオフして、ガンガン攻める。対向車のレーサーレプリカが目を剥いている。はははっ。ワインディングでレプリカ驚かして、ダートでエンデューロマシンを驚かす。Cubこそ本物のマルチパーパスやねぇ。
こんな時間になってしまったがメシ……と思ったら、食堂は一杯。しかたなく、屋台のタコ焼きを食べる(うう、ひもじいよぉ)。
今日の〆は、猪笹林道。ハードと楽勝が交互に現れる、長い長い林道。今日一日で、自分でもずいぶんうまくなったと思う。砂利に突っ込むとハンドル取られるとか、わだちから抜け出せないとか、そういう今まであった不満は別にCubのせいじゃなくて、単にウデがなかったからなのだ。あいかわらずペースは遅いけど、かなり安全に楽しく走れるようになった。Cubで正解。間違いなし。
途中、数十メートルはあろうかという断崖の下に、うねうねと川が蛇行しているのが見える場所があった。上昇気流で、頭の上ではもくもくと雲が生まれている。なんか、憧れの地アンデスからアマゾン川を見た気分。いつかいっしょに行きたいねぇ >Cub
_ 17:00
小又川キャンプ場。途中で会った大阪のXLR氏に教えてもらったところ(そういえば、今日は3人からキャンプ場をすすめてもらったっけ。人気モノだなぁ、Cubは)。夕メシまでもらっちゃって、なんか、申し訳ないっす。「今日は北又林道ってところを登ってきたよ」とXLR氏に話したら、ぶっとんでいた。あそこは関西でも指折りのハードな林道で、知ってる人が少ないどころか、知ってても恐れて行かない人までいるという。ひえー。たしかにガルルのマップにも出てなかったもんなぁ……。
XLR:「知ってたんですか?」。ま・さ・か。知ってたら行かないよぉ。死ぬかと思ったんやど。
1990-08-14 南紀林道巡り篇[3]
_ 06:00
セローたちに「明日の予定は?」と聞かれて、「さぁ。まだ地図も見てないよ」と答え、あきれられてしまったが、とりあえず今朝は水呑峠経由、大杉林道。ただし、工事中通行止めということで、セローたちは昨日は追い返されたという。だが今日からは現場もお盆休みということで人はいないはず。こっそり通れるかもしれない(無法なやつ……)。
と、思ったら! なんかハデな山崩れがあったらしく、150mにわたって高さ2mの土の山が道を塞いでいる。こりゃ、トライアルマシンでも持ってこなけりゃ通れないよ。あきらめて戻る(くそー)。林道の入口に、セローたちのために約束通り石を三つ積む。「あきらめた」の印。
このまま遠回りしてまで海に出るのもしゃくにさわるので、北へ(どういう……)。R166を通って吉野を目指すのだ。地図を見るとすでにずいぶん北に来ている。紀伊半島って意外と小さい。SIGGボトルの1リットルを足して走る。
_ 09:00
R166の高見峠。長い(と思われる)トンネルの手前に、「トンネル」と「峠」の分岐。アホか。わざわざトンネル通るヤツがおるかいな(逆だ、逆!)。でも峠の上からの眺めはGOOD! トンネルからでは楽しめない。
_ 12:00
吉野山。たいして腹はへってないが、名物の柿の葉ずしを食う。とりたてて旨いとは思わんがなぁ……。細いちょこまかした道を通って吉野山を見てまわる。Cubだから歩行者を驚かすこともない。よそ見をしながらトコトコ。のどかだなぁ。眺めもいいし。
吉野山から黒滝村に出る道を探してウロウロ。ようやく見つけたそこは、デカデカと「駐車場」の看板が。まぎらわしい!
_ 14:00
「眺めがよい」と書いてある小南峠をめざして南下。山あいの気持ちのいい1車線道路。こういう道が楽しいのもCubくらいなものだよなぁ。Cubらしく、30〜40km/hで流す。……と、いい気になってると、道がどんどん狭くなって、とうとう行き止まり。ゲゲ。黒滝川沿いに入っちまった! 引き返してなんとかルートに戻った……と思ったら、今度はR309に出てしまう。うーむ。方向音痴なヤツ。ま、いいか。行きつく先は同じだ(とかいいつつ、あきらめきれずに途中の林道に突っ込んで、行き止まりであえなく撃沈したりする)。
_ 15:30
うひーっ、寒いーっ!……と、ここは行者還林道。(2年前の)地図には全舗装間近って書いてあるので、もう全舗装されちゃってるだろうなぁ……と半ばあきらめつつ、わずかな期待を忘れない。しかし、対向車にCBR250Rが現れ、続いてトライアスロン風の自転車とすれちがうに至って、完全にあきらめる。ぶー、ぜんぜん面白くない。しかも長いので、ええかげん飽きてきた。
_ 16:30
池原ダムで泊。でも、また「発電機」と「花火」の交錯するファミリー・キャンプ場だったりして(他になかったんだもーん)。でも、隅っこの方にけっこう静かでいい場所があったので、そこにテントを張る(いい場所でもなんでもないということがわかるのは、その後のヤブ蚊の大軍攻撃にあってからである。蚊取線香で撃退したけど)。
明日はおそらく、今回の旅のメイン・イベント。高野龍神スカイラインを中心に、地図の見開きいっぱいに「ぎゃーっ」というほど林道がある。ああー、幸せ(へ、変態……)。
_ 「林道Cub」は果たして南紀の林道を征服できるのか? 気になるタペット音、少ないオイル(をいをい)、後手後手にまわる林道情報。以下、後編、乞うご期待。
1990-08-13 南紀林道巡り篇[2]
_ 06:00
こういう「ファミリー・キャンプ場」にくると、つくづく日本人は遊びが下手だなぁ、と思う(てめーらのことだよ >カラオケ族、花火族)。せっかくのキャンプなんだから、「静寂」とか「暗さ」を楽しむ風情がほしいよね。
とりあえず南を目指して、一路、パールロードへ。高速コーナー(あくまでもCubにとっての高速コーナーである)が続いて気持ちイイ。7:00までに抜けるとタダなので、ガンガンととばす(たかが150円なのに……せこいっ)。
_ 08:00
天気はベッタリと湿っぽいうえに、空には一面の雲。天気予報のウソつきっ!(どーせ太平洋に突如発生した温帯性低気圧かなんかがおれをいじめに紀伊半島に向かってますとかなんとかいってるんだろ。どーせをれは雨男だよっ >天気)
R260からわきに入って、本日の林道part1「藤越林道」(ダート7.5km)で小手調べ。
新しいタイヤのおかげで安定感はグンとUp。でも、深いわだちに捕まったりするとかなりハンドルをとられて、ムズカシイ。やっぱCubには無理があったか? 20〜30km/hでゆるゆると流す。途中、休んでいたら、反対側から来たライトバンのオジさんに声をかけられる。「神奈川からきました」といったら、ぶっとんでいた(そんなに驚かなくていいのに……)。
_ 09:30
たて続けにダート9kmの奥西河内林道!……のはずなんだが、入口が見つからん……。おまけに夕立ちみたいなにわか雨が降るし。こんな時間じゃ、朝×ちじゃないか!
でも、なんとか見つけて林道へ。地図にはわだちが少し深いと書いてあるけど、そうでもない。けっこう慣れてきたので調子よく登る。さっきの藤越もそうだけど、峠を越えると「ドーン」と山なみを一望できて「さまーみろっ」という気分になる。Cubだからってバカにしたもんじゃない。
_ 13:00
R42で昼メシをとってから、お次は千石越林道(ダート11km)。次から次へと林道が現れて、あたしゃ嬉しいよ。
しかし、雲は重くたれこめて、うすくガスまで出るしまつ。おまけにかなりの勾配なので、2速でもつらい(あとでわかったことだが、2速で登れるほうが珍しいのであった。ふつー1速……)。道もけっこう悪いので……これはまぁ、面白いから許すけど:-) でも、震動でポリタンクを落としてしまい、穴をあけてしまったのは悲しい……どーも荷物の座りがわるいのだ。ポリタンクは前カゴへ。フロント荷重が増えて調子がよくなる。「ケガの功名」ってやつですか?
道にはバイクとおぼしきタイヤの跡。パワーがかかっているところを見ると登り、つまり同じ方向か。よーし、追いつくぞ(無理だって……)。地図には「展望よし」なんて書いてあるけど、ガスっててよく見えない。おまけに落石あとがすごくて、ビクビクである。ゆっくりゆっくり走った。
_ 14:30
林道を出てから、ゆるゆると登って宮川ダムへ。この先の大杉林道に行きたかったんだけど、はじめての林道ツーリングということで、さすがに疲れた。ここで一泊。……が、ダムのそばの村営キャンプ場は「予約がないからダメ」とむべもない。ケチッ。1人用の小さなテントやんか。しかたがないので、ダムの周辺をぐるぐるまわって、河原になんとかキャンプができそうな場所を発見。そこにする。
今回はあんましバイク乗りに会わないなー、と思っていたら、あとから愛知のセロー2人組が来た(男ふたりでツーリングかよー)。彼らの林道Cubを見ての一言。
「おそれいりましたっ」
ふふん。気分いいね:-) きくところによると、最後に走った千石越林道は彼らも走りにくかったそうで、別にCubだからどうのということはないらしい。なんだ。まだまだいけるじゃん?