1996-05-02 世界最大のこま犬を訪ねて篇[1]
_ 前口上
実に4年ぶりのCubツーリングになる。結婚するとバイクに乗らなくなる人が多いとは言っても、自分だけは違うと思っていただけに、この歳月はけっこうショック。今回もやっと3日間を捻出した程度なので、往年(?)の長距離ツーリングとは比べようもない短期間。それでも十分に楽しんできたつもりだ。
Cub側の装備は前回からあまり変わっていない。林道対応ということでST70(いわゆるDAX)US仕様を装着したが、それ以来林道には行っていない。春ということで、例のごとくヤママルト印のハンドルカバーともいう名のナックルガードを装備。
地図には昭文社の「2輪車ツーリングマップ」、「関東」「中部」の2冊を使用。初日は、神奈川県相模原市にある自宅からスタートしています。
_ 07:20
相模原市の自宅。夕べからかなりの雨。久しぶりのカブツーリングというのに、なんとも滅入るなぁ。これまた久しぶりに雨装備をつけてたら(普段は晴れのときしか乗らない)、年代物のブーツカバーの底がパックリ口を開けていた。そういえばそんな覚えもあったなー。前日からいろいろと準備を整えておいたくせに、こういうところでツメが甘いのである。いつものことだけど。
目的のこま犬は岐阜と愛知の県境あたりにいるらしいので、今回の旅は東海道と中央道を行きと帰りに使うルートを考えている。もっとも、この雨だと中央道は寒いかも、でも東海道は走り慣れすぎてつまらないし……と、どっちを回るか決めかねて、とりあえずR246を秦野市の実家へ向かうことにする。最終決断は御殿場あたりでできるしな。
_ 08:30
実家に到着。以前日記をつけていたメモ帳が見当たらず。てっきりこっちに置きっぱなしだと思ってたのに、自宅に持ってってたのか〜。自宅にないいろいろな小物と、中部地方の地図だけ確保して、再出発。天気予報を聞くと、一日中降ったりやんだりとのこと。そうはいっても、降ったり降ったりしてますけど。とほほ。今日は寒いし、中央道を行ったら凍死するな。東海道にしよう(歳のせいか、気が弱くなってる?)。
_ 11:00
沼津。ここまでまったく記憶がない。もう何10回も走った道だからか、カブが勝手に沼津までつれてきてくれた感じ。切れ目なく降る雨で、眠くて寒くて、ちょっとヤバい雰囲気になってきたので、R246沿いのコンビニで腹ごしらえ。いきなり貧相だが。雨は心持ち小降りになってきている。メモ帳とたばこを買う。ここからR1、東海道だ。
_ 12:50
富士の「道の駅」。道の駅って、話はときどき聞くけど、実物ははじめて見る。ツーリングをしなくなった頃からできてきたもんな。高速道路だけじゃなくて、一般道にもこういう施設があると確かに便利。カッパを着た小汚い格好でも堂々としてられるしな(笑)。もっとも、ここらで雨はやみ、晴れ間が見えてきている。カッパを脱いだ。うーん、暖かい! お天道様万歳。
で、カッパをしまってたら、足元の水たまりに油膜が広がっている。「げ、オイルでも漏れてるのか?」と焦ったが、エンジンではなく、Rサスだった。去年まで雨ざらしだったため、シャフトに錆が浮いていて、ツーリングの厳しい走り(?)で錆がシールを破っちゃったらしい。エンジンじゃなくてよかった(ってよくねーよ)。こりゃ、今回は林道は無理だね。でもこのまま走るんだね?:-)
_ 15:00
R1掛川市手前で、事任(ことのまま)八幡宮というのを見つける。駐車場に止めてたら、バスに乗った中学生の集団に「カブだ」「カブだ」とはやしたてられる。目立つっていいなぁ(そうか?)。こま犬なし(泣)。奥の院というのがあるようなので、行ってみる。すごい急坂を登っていくが……こっちにもいない。ぜいぜい、息切れたやんけ。神社でなければカブで登ってやるところだぞ(ってそのRサスでか?)
鳥居の前で休んでいたら、自転車を押した地元のおっちゃんに話しかけられる。
「学生か?」
「いえ、働いてます」
「結婚してるだろ」
「ええ(今まで学生かと思ったくせに、なぜそうなる?)」
「かみさん泣いてるぞ」
洒落になってないっすよ、おっちゃん……。
_ 16:00
浜松。このあたりのR1ほど退屈な道もないね。ただただ広いだけ。そろそろ宿を決めないといけない時間なので、浜名湖で食料を買って、豊橋あたりを目指すことにする。そういえば、以前来たときはここで昼食(ウナギだ)にした覚えがあるのに(→南紀林道巡り篇)、この遅れはいったいなんなんだ? ブランクのせいでスピードが出ないとか? なんかまた雨がぽつぽつ来てるし、なんかヤな予感がするなぁ。浜名湖でどこか探した方がいいかな……と思いつつずるずると西へ向かってしまう(例によって優柔不断つーか)。
_ 17:00
豊橋。へぇ、けっこう立派な街なんだねぇ。路面電車が走ってるんだ。ここからR1を外れてR23へ。やっと未知の道になった。しかしこんな時間になるというのに、まだこんな都市部にいるとわ。このままだと暗くなっちゃうぞ!? いちおう地図上には三河湾沿いにキャンプ場があることになってるので、チャンスはそこにしかない。行ってみるしかなかんべぇ。
_ 18:00
蒲郡市へ入って給油。GSのおっちゃんが、聞いてもいないのに目指しているキャンプ場への道を教えてくれる。嬉しいねぇ。地図にはダートがあるように書いてあるんだけど、直接登る道があるのでダートを通らずに済みそう。半分ラッキー、半分ガッカリ(←Rサスのことをもう忘れているのか?)。
着いた相楽荘キャンプ場はなかなかgoodですね。サイト数は数10の大規模なものだけど、サイトまで車が入れないし、設備も十分。一泊\600と、規模にしては安い方(県立にしては高い方か?)。たき火ができれば満点なんだけどねぇ。まぁ、広場とかあるし、ボーイスカウトとかの団体キャンプをターゲットにしているのでしょう。
今日はすごく空いてて、他には小さな子供を連れた家族が一組だけ。飛び込みで泊まれて良かった。静かに寝られそう。でも、明日からは連休に入るので、このキャンプ場が一杯になるとか。うげー、だ。
中央に池(沼?)があって、カエルが鳴いている。暗くなる前にテントを張れたけど、久しぶりなので2度も張り方を間違えて(とほほ)、夕食を食べるときにはもう暗くなっていた。ガスが出てきて何も見えない状態で池の方から「ぽちゃんっ」なんて水音がすると、カッパでもいるんじゃないかという気がしてしまう。おおっ、いきなり背後でフクロウが鳴き出したぞ。うーん、幽玄な感じ。